不動産物件情報流通の現状おさらい(1)掲載先
ブログ、別アカウントに移転しました。お手数をおかけして申し訳ありません。
まずはじめに、2015年の今の不動産業界の物件情報(「広告」)の流れを、賃貸物件をメインにおさらいしておきたいと思います。
参考:不動産情報流通の仕組
元付けが貸主側エージェント、客付けが借主側エージェントとなるスタイルが増えてきています。客付け業者は、紹介まで。申込以降は元付け(管理会社)で契約することも多いです。
物件情報の流通チャネルの代表的なものとしては、
1.不動産会社の自社サイト
言うまでも無く、自社のウェブサイト。今の時代、個人でも無料で1分とかからずにブログやウェブサイトは作れる時代。会社でも、月々400円もかからず独自ドメインのレンタルサーバーを借りられる時代となりました。
しかし、持っていない不動産会社も中にはある。これにはさまざまな理由がある。
- おじいちゃん、おばあちゃん+事務員の昔ながらの地元系不動産屋
- 売買仲介のフリーエージェント風の転職から独立した個人
個人レベルで独立することも多いこの業界な上に、インターネットで集客をする必要性を感じない形態もあります。
なくても全然問題ない。
2.物件検索ポータルサイト
大多数が利用する、不動産物件検索サイト。
どの不動産業者も、たいてい下記の3つ、少なくとも1つは利用している。そこからさらに色々なところ(一般ポータルサイト等)にも情報が転載されるのがほとんど。
アットホーム
昔からある。地元系不動産会社をアットホームの営業マンが個別に訪問して紙の図面を流通させる。昔ながらの紙図面の流通形態を引きずっているところがある(良くも悪くも)。業界団体と密着している(良くも悪くも)。
不動産会社からの直の情報は多い。
スーモ
リクルートの運営する検索サイト。昔のイサイズの系統。一時リクルートの再編でぐちゃぐちゃになり、スーモで復活。雑誌媒体の形態を引きずっている。
リクルート系の情報網で一応質は高い。しかし値段も高いので...。
ホームズ
インターネット時代の新興検索サイト。管理画面も使いやすく、問い合わせ課金制の掲載数無制限など、新しいことに挑戦する。掲載数無制限なので悪質なアパマンショップの一部フランチャイジー(加盟店)が無承諾「おとり広告」を無制限に乗せまくって公正取引違反問題となったりした。
3.業界団体サイト
ハトマークサイト
全宅連(公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会)という、業界団体の運営する、一般向け検索サイト。
カタチばかりのサイト。実質、下記都道府県の下部団体の団体サイトから自動的に上がってくる情報ばかり。
ハトマークネット
全宅連の東京都下部団体である都宅建(公益社団法人東京都宅地建物取引業協会)が運営する、一般向け検索サイト。
物件掲載は無料だが、集客力の無いサイトで、かつ使いにくいのであまり使われてない。実はアットホームが実質的に運営。え?マジ?それでいいの?みたいな。
アットホームに物件掲載すると、このハトマークにも半自動的に(任意で)転載される。
不動産ジャパン
公益財団法人不動産流通推進センターという、天下り団体臭が120%する組織の運営するサイト。鳴り物入りで「統合サイト」と名づけ、「日本全国の4大不動産団体共同の物件検索サイト!」と立ち上げたはいいけれど、泣かず飛ばずでいつの間にか、単なる「不動産豆知識情報サイト」という変わりよう。もはや物件情報なんかないに等しい。
運営団体からして、今の今まで(2015年4月まで)「不動産流通近代化センター」という名前からして超前近代的な官僚的組織。
このサイト、問題だらけだけど、もはやただの過去の遺物なのでスルー予定。
ハトさん - ハトマーク東京不動産
都宅建会員で作る共同組合、東京都不動産共同組合が運営する一般向けサイト。
平成23年12月に出来て、始まる前からこりゃないよ的な予感が的中。
後で個別に触れる。
4.「業法サイト」指定流通機構レインズ
悪名高きレインズ。不動産業界のITレベルを下げている権化といえる。その存在意義は、宅地建物取引業法の兼ね合いで法令等によって定められた「指定流通機構」だから。
このサイト、利用者のユーザビリティやウェブ標準など眼中になし、もはや欠陥サイトといっても過言では無い。不動産業者は、売買の専任・専属・専任媒介では登録しなければならないから無理やり使わされているだけという実態。ユーザビリティなど眼中にないので、改良などしない、しかもWindowsのIE限定でないと動かないという非ウェブ標準を堂々と謳ってしまう異常さ。
このサイトが、インターネットを初めて使わされた不動産屋のインターネットアレルギーを引き起こす悲劇が、日本全国で多発。レインズが日本の不動産情報の致命的な遅れを引き起こしてきた、ということは、もはや認めなければならないだろう。
この2015年に、レインズのページタイトルは、
<title>ようこそ!レインズIP型ホームページへ!</title>
である。
「IP型ホームページ」って、いつの時代の話だろう。実は、IP型というのは、F型に対する新システムという位置づけ。F型つまり、マークシートのFAXでの入稿だったのである。しかも厳密にはIPでlow leverl通信している訳でもなく、その上のTCP/IPのレイヤーの普通のHTTPだべさ。つまり普通のウェブサイトじゃん、何を言っているのさレインズさん、みたいな。
レインズとは
昭和55年の宅地建物取引業法の改正により、専任媒介契約については、業界8団体の認定する「流通機構」へ売買等の情報を登録し、情報の公開による成約の促進に向け努力することとされ、全国で「認定流通機構」が設立された。
しかし、相互の機構間の情報交流は相互のシステム間連携の違いにより不可能なケースも多く、充分な成果をあげることはできなかつた。建設省は、流通機構相互間の連携を可能とするため、昭和61年、(財)不動産流通近代化センターと共同して、レインズと呼ばれる不動産流通標準情報システムを開発。平成2年からの専属専任媒介契約制度の実施にあたり、この契約による取引については、宅建業者に建設大臣の指定する流通機構への登録が義務付けた。
情報システムの整備とともに、流通機構の整理・統合が必要となりレインズを採用し、需給圏域ごとに―本化された流通機構が建設大臣により新たに指定され、「認定流通機構」から役割を引き継いだ。平成9年4月に宅地建物取引業法が改正され、現行の専属専任媒介契約に加え、専任媒介契約についても指定流通機構への登録が義務付けられ、指定流通機構の指定要件として公益法人であることが明確に規定され、全国に37あった指定流通機構が4地区4機構に再編成され現在の機構となつている。
まとめ
さらには、フランチャイズ系のポータルサイトや、企業系のポータル、コンバート系と言われる中間業者などさまざまな形態があるが、とりあえず、2015年の今、不動産会社の物件掲載先の定番は、
1)自社サイト
2)民間不動産物件検索サイト
3)団体系サイト
4)業法サイトレインズ
となる。
もちろん、ダイレクトメールばりにFAXしまくる方式もある。
昨今、さらに多くの検索サイトが乱立し、不動産業者としては手間も費用もかかってばかり、というのが本当のところ。なので問屋的な「データのコンバート業者」(いい生活、レンターズ等々)無駄な階層構造になって非効率と費用ばかり掛かる。業界団体にいたっては、過去の失敗にも学ばず、壮大なるお金の無駄遣いを続けている。
昨今の実感としては、特に賃貸においては、いわゆる「仲介会社」が物件検索サイトへ大量に2次広告(先物物件)を出し集客して、(元付けの)「管理会社」にお客さんを紹介(客付け)する、というのが多くなっている。しかし、それによって新たな情報の偏りと、鮮度や正確性の低下、アナログな空室確認の手間、など別の弊害が出てきている。