不動産情報流通IT化の覚書

元宅建士・元プログラマが不動産ITについて語るブログ

不動産物件情報流通の課題(1)慣行と慣習と規制

ブログ、別アカウントに移転しました。お手数をおかけして申し訳ありません。

reps.hatenablog.jp

 

 

 不動産物件情報の流通における課題というのは確かに多い。この業界に入ってみないと分からない細かな障壁というものは存在する。しかもそれは、安易に見過ごしたり壊したりするわけには行かない理由も分かってくる。

 

特性と規制

 インターネットに公開した物件情報は、申込時点で募集を取り下げないと「おとり広告」となってしまう。そのため、情報の流れをコントロール出来なければならない。つまり一次情報の発信元が情報を更新したならば、2次3次情報公開者も遅滞なく更新された情報を反映させなければならない義務が発生する。

 勝手に出回ってしまっては発信元も責任を問われる可能性が出てくるし、利用者にも不利益となる。

 なので、そういった意味でも物件情報の2次利用は勝手におこなってはならないという前提があります。元々無断転載、無断2次広告はダメです。空室確認せずに放置もだめです。

 これに関しては、テクノロジー的な課題でも障壁でもなく、逆にITを使って解決できる問題(正確性、リアルタイム性などなど)もある。

 

プライバシー

 詳細住所、建物名、室内間取り、室内写真、空室時期などの詳細が公開され、それが無制限にコントロールなしに出回ってしまう、という違和感。

 個人の名前や取引情報や登記簿情報が出回るわけではないので、それほど心配する必要はまったく無いのですが、まだ違和感はぬぐえない。

 貸主や入居者が嫌がるケースはまだある。無制限に公開されることによって、勝手に物件の周りをうろつく「不審者」風の人が出てきたり新たな問題も起きてくるかもしれない。

 つまり、闇雲に全公開すればよいという話ではない。やり方次第ではある。

 

顧客の囲い込み

 企業の目的は営利の追求であり、究極的には市場の独占(の一歩手前ぐらいがちょうどいい)。

 不動産業界は、顧客の囲い込み=情報の囲い込み、となりやすい構造。本来は提供するサービスの特徴や質で囲い込みをすべきなのだが。

 これが、IT化していく上での、実は一番の障壁。